-*







  お問い合わせ

 

 

 

 

 当協会では、熊本県の委託を受けて、貿易の振興を促進する観点から、シンガポールと上海を起点として、東アジア(東南アジアを含む)における県内企業の海外展開に対し、支援を行っています。そのなかで、現地ビジネスアドバイザー等のネットワークを活用しながら、情報の提供、ビジネスパートナー候補の紹介、海外で展開する企業の相談窓口の設置等、企業のニーズに対応した支援を行っています。
 今回以降、上海現地アドバイザーの中浦 和一氏から「上海便り」として現地のビジネスに係わる情報をレポートしていただきます。
 




2008年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

← 2009年  
◆上海便り 〜12月〜◆
1.経済概況
 アメリカ発の世界金融危機の影響を受けて、中国経済も急ブレーキがかかり、11月の各種経済指 標は大幅に悪化しました。特に貿易額は2001年6月以来のマイナス成長となり、昨年同期比の9%マイナスとなったのが注目されます。ただ1〜11月全体ではこれまでの高水準が効いて、前年比21%アップとなっています。
 11月の全国港湾貨物取扱量は過去10年での最低水準にまで落ち込みました。11月の工業生産も 前年比5.4%アップというこれまでにない低水準となっています。株価も政府の種々の措置により一時のひどい状態からは脱しましたが、なお低水準が続いており、不動産市況も改善の兆しは見えていません。
 中国政府は巨額の公共投資(インフラ投資)の発表や、企業への銀行融資の大幅緩和、減税、金 利引下げ等景気浮揚策、輸出促進策を続々と実施するとともに、国家首脳が全国各地を回り、景気の実態を把握するとともに、各地の不満を聴取し、政府の対策を説明し、激励しています。(不満の爆発を防止する目的と、地方の実態の正確な把握が目的と思われます。)
 中国経済を牽引する上海には、先月は温家宝首相が、また今月は李克強副首相が来訪し、主要企 業を訪問しております。中国政府が現状を深刻に受け止めており、上海を中心とする江蘇・浙江の長江デルタ産業圏が中国経済の危機を支えるようにとの期待が伺えます。
 一方、CPI(消費者物価指数)は、11月は2.4%と低下し、インフレ傾向はおさまっています。
2.中央経済会議開催

 来年の経済政策の基本を決める党と国務院幹部による会議が12月8〜10日開催され、来年の成 長率を8%、失業率を4.5%以下という目標を設定しました。マクロコントロールを調整し、「積極的財政政策」と「ゆとりのある通貨政策」を採用するとしています。これは金融の大幅緩和と、これまでの人民元の切り上げ誘導政策の転換(場合によっては人民元の切り下げ方向への誘導)を意味し、欧米からの注文の減少に苦境に立たされている輸出産業の悲鳴と人民元切り下げ要請に対処したものとなっています。また「一般庶民の利益にかかわる問題や、注目度の高い問題の解決に力を入れ、社会の安定を図る」としており、失業や株安に対する対策を進め社会不安を防止しようというものです。
 来年のGDP成長率については、中国国内各専門機関の予想ではでは8〜9%、海外の分析では6〜8%となっており、いずれにしても10%を割ることは間違いないとの予想となっています。欧米経済がいつ回復するか、巨額なインフラ投資が内需をどこまで引き上げられるかにかかっています。
 私見でありますが、中国経済を見るのに、過度に悲観的に見ることも、過度に楽観的に見ること も避けるべきで、国際的な経済環境ほか色々な要素と政府の対応等を客観的に分析する態度が求められます。確かに「世界の工場」となった中国経済にとって「世界的な不況」による「外需」の低迷は大きな痛手であり、世界経済が回復するまで、少なくとも来年は厳しい状態が予測されますが、中長期的に見れば無尽蔵とも言えるインフラ案件、農村経済の活性化による内需の拡大等を考えると「安定的な高度成長」が持続可能と判断しています。

3.中国食品工業協会「王文哲」氏の見解

 中国の食品業の工業生産高は、07年が3兆2700億元、08年は4兆元に達する見込みで急成長 しています。ただ加工食品国産は食品消費全体の30%に過ぎず、先進国の60%〜80%に比較して極めて低い状態です。従って、「加工食品の輸入は今後5年間でも1兆元以上が見込まれ、ビジネスチャンスが大きい。」というのが同氏の発言です。さらに食の安全問題、健康問題を考えると日本食品の中国への輸出拡大のチャンスは到来していると考えております。

 

◆上海便り 〜11月〜◆
1.緊急金融対策
  08年1-9月のGDP成長率が9.9%(9月は9%)と経済の減速傾向が明確になってきたこと、またアメリカ発の世界金融危機が中国にも少なからず影響があること、中国の株価が低下の一途をたどり、不動産市況も冷え込んでいることなどから、中国政府はこれまでの引き締め政策から急遽、経済政策を転換し、積極的な景気刺激策に転じました。金融緩和(金利引下げ、融資条件緩和)、不動産取引刺激策(取引税等関連税の減税、銀行融資条件の緩和)株式刺激策等を矢継ぎ早に発表しています。
 また、欧米日等世界の危機対策に同調し、世界最大の外貨保有額と過去4年間連続している財政黒字等の実績をもとに、世界の「危機の防波堤」として国際社会での「存在感」を高める好機であると捉えています。
2.街角景気

 「株価」の低迷についての庶民の失望と怒りは強いものがあります。他国の株式市場と違って中国は個人投資家の比率が高く(約40%)、経済の理論的分析よりも、心理的要因で動く敏感な市場です。投資家は、中国経済の今後に不安を持っているため、世界でも最も弱気な反応となっています。中央政府は、地方政府がそれぞれ独自に不動産市場刺激策を採ることを容認し、地方政府も景気浮揚策としての不動産市況てこ入れ策を発表しています。しかしながら、庶民からは「不動産より株価対策を優先するべき」との強い批判が出ています。(インターネット上での強い攻撃があります)
 上海市内でも高級レストランの客入りは「激減」しています。自動車も販売の伸びも減少し、統計上の消費はまだ落ち込んでいませんが、株価の低迷がこのまま続けば、今後かなりの落ち込みが心配されます。

3.内需拡大策

 中国政府は今後の内需拡大の「秘策」として、現在農民家庭に供与されている「農地請負耕作権」(中国語では「家庭承包経営権」)の転売・貸付・出資を認めるという画期的な農地政策の転換を発表しました。これにより農業の大規模化、株式会社化、場合によっては外資参入の道を開き、「市場経済」を農業にも導入し、農業・農村を活発化し、国際競争力・収益力を大幅にアップして、農村での「内需」拡大を図ろうというものです。
 ただ、土地の所有権は従来の「集体保有―いわば国有」を変えず、また農地耕作権を販売し農民でなくなった人々の生活保障のための「社会保障制度」や「都市での吸収策」を検討するとしています。当面は大きな動きにはならないでしょうが、中期的にみると大きな変化になっていく可能性が強いと考えます。

4.中国の輸出と外資系会社

 中国の輸出額は、2007年には世界全体の8.8%を占め、世界第二位となりました。2007年末現在の中国の外資系企業の総数は28万社であり、中国の輸出額に占める外資系企業の比率は57.7%に達しています。なお、中国の税収に占める外資系企業の比率は20%(9900億元)に達しており、中国経済の外資頼りが鮮明に現れています。
 なお、08年1-9月の貿易は、輸出が前年同期比 22.3%アップ、輸入が29%アップで、貿易黒字は2.6%アップしています。

5.上海万博

 数日前に「日本政府館」について、万博本部との間で契約が調印されたとの報道が上海の各紙に掲載されました。地方自治体のブースもこの中に設けられるほか、日本の大手企業も参加の予定です。ただ、今回の万博のスポンサー企業が「GM−上海汽車」のため、たとえば「トヨタ」等の他の自動車会社は個別の特設館は作れないそうです。
 なお、日本関係では堺屋太一氏のアレンジで、中小企業を中心とする展覧館も設置の交渉中だと聞いています。

6.食の安全関連

 「牛乳」のメラミン混入事件に続いて「卵」にも化学物質混入との騒ぎがおこっていますが、「日本の日清食品のラーメンの殺虫剤混入」が、なぜか当地の夕刊紙のトップで大きく報じられています。いずれにせよ安全な輸入食品に対する需要は大きくなっていますので、チャンスであることは間違いありません。
 スーパーでは有機栽培野菜類が急増しています。

 

◆上海便り 〜9月〜◆
1.金融政策転換へ

 中国中央銀行(人民銀行)は、突如16日より貸し出し金利を0.27%引き下げ、大手国有銀行を除く中小金融機関の預金準備率も1%引き下げる金融緩和を発表しました。これは4年ぶりの利下げです。国内の株価低落・不動産市場低迷・輸出増加率減少等の景気停滞傾向へ対応したもので、8月のCPI(消費者物価指数)が4.9%と下落したこともあって、物価上昇への影響も少ないとの判断で踏み切ったものと思われます。ただタイミング悪く、アメリカのリーマンブラザーズの経営破綻が発表されたため、利下げ発表にもかかわらず株価は世界的株安の波に飲まれて大幅に下落しています。     
 今回の利下げは不動産市場にも大きなプラス影響は出てこないと分析されていますが、今後、情況によっては金融緩和措置を行う政府の意思が示されたことで、経済に心理的プラス要因になることが期待されています。政府もアメリカ等外国依存型経済からの脱却を目指して内需拡大に一層拍車をかけるものと思われます。中国経済はオリンピック終了後、踊り場にかかっていますが、中長期的に見れば中国国内には大きな不安要素はなく、固定資産投資もなお高水準を維持しており、安定した高度成長を続けていくものと思われます。

2.長江デルタ経済圏に「渇!」

 上海を中心として江蘇・浙江省の蘇州や無錫・杭州等16都市で形成される長江デルタ経済圏に関し、16日国務院は特に指示を出し、「地域連携を更に強め、環境保全・省エネ型の経済構造化、先進的サービス産業と先進ハイテク主体の製造業の強い国際競争力を持つ経済圏として、アジア大洋州の中心的存在となるよう」作業を強めるよう指導しました。地域内での戸籍制度を改革し、労働現地での居住証を中心とし、社会保険等の付保を行い、地域内移転を容易にする等地域一体化を加速することになります。
 上海長江デルタ経済圏は中国経済の生命線であるとの認識の下で、中央政府が昨今の上海経済のスローダウン傾向に「渇」を入れ、中国経済を牽引するよう求めたものと思われます。(上海の街角景気は富裕層・中産階級が主体の都会だけに、株価の大幅下落・不動産の下落の影響で市民の不満も強く消費の伸びも一時の勢いをなくしています。)
 次は「上海万博」に向けての景気回復が期待されます。

3.食の安全問題

 食の安全に関する事件が頻発する中国で、乳幼児向けの粉ミルクに毒物(メラミン)が混ぜられ
ているという大事件が発生し、政府による緊急査察により22社が摘発、関係都市の副市長解任という事態になり、日本での事故米騒動なみの大騒ぎとなっています。安心できる日本等外国食品への需要が一層増加するものと思われます。

4.CO2排出権取引所開設

 上海や北京等主要都市で排出権取引所が開設しました。当面は排出権取引の情報の収集と提供が主業務です。背景としては中国では取引商品が情報・知識不足から世界の水準より過小評価されているとの認識があります。国内企業に対し省エネのコンサルタントも行うとのこと。

5.汚水処理事業に注目

 中国の排水排出量(工業排水及び生活廃水)は年間平均4%強伸びており、6年には536億トンに達しているのに対し、汚水処理能力は年平均11%上昇していますが、07年で227億トンに過ぎません。汚水処理関係のビジネスチャンスが極めて大きいといわれています。

6.1-8月の経済指標

 輸出の伸びは22.4%、輸入は30%。貿易黒字は前年同期比 6.2%減少し1520億ドル。輸出の伸びが減速しています。固定資産投資は27%アップと高い水準を維持。CPI(消費者物価指数)は
  4月 8.5% 5月 7.7% 6月 7.1% 7月 6.3% 8月 4.9%
と漸減しています。
 海外からの投資は実行ベースで42%アップの677億ドルと順調に増加しており、海外への投資は07年現在累計で173国・地域向けで1179億ドルと急増中です。

 

◆上海便り 〜7月〜◆
1.G8サミット関連

 北海道洞爺湖G8サミットが終わり、G8+Xに出席していた胡錦涛主席も帰国されました。中国のマスコミは、サミット期間中詳細に情況を報道しており、特に胡主席到着後は新興5ケ国首脳会議や個別首脳会議等の活発な外交活動を克明にレポートし、胡主席の世界での大きな存在感を強調していました。
 会議終了後の総括としては、日本のメデイアの総括(共同通信や朝日新聞、日経新聞)を引用する形で「G8は世界の主要な問題についての認識を共有したが、有効な具体的措置は決まらず、新興大国の協力なしでは、枠組みは制度疲労を起こしている状態」とし、G8が世界をリードできる時代は終わり、アメリカ等が反対しているが、少なくとも「中国とインドの参加がなければ意味のないものになる」との見解が世界の趨勢と述べています。またフランスのサルコジ大統領が北京オリンピック開幕式参加を決めたことは大きく報道しながらも、西側メデイアの「結局は中国の経済力に屈した」との揶揄も合わせ報道し、またそれとは対照的に「サルコジ大統領の日本軽視」を指摘する日本の報道も紹介しています。

 中国のマスコミは数年前までは、中国が疎外されていることにより、G7を「金持ちクラブ」として会議も数行の報道で全く無視していたのとは大違いの報道ぶりとなっています。

2.中国に変化をもたらしたもの―インターネットの威力

(1)1978年以来、改革・開放路線が進行する中で、中国に「決定的な変革」をもたらしたものは以下の2点だと思います
 @「土地使用権の売買を認めたこと」
 A「インターネットの普及」
 土地使用権を売ることにより政府(中央政府及び地方政府)は莫大な開発資金を手に入れ、大量の海外からの投資を呼び込み、開発・経済発展の推進力となりました。インターネットの普及は、これまで情報ソースを極端に制限されていた市民に突如として政府の意図が働かない新しい大きな情報源と意見披露の場を提供することになり、政府はこの根本的に変化した情勢に対応を迫れられることになりました。
 インターネットで発言される新しい世論は「隠れていた地方の腐敗の暴露」、「これまで言えなかった本音」、「デマ」、「噂」、「誹謗中傷」、「故意の煽動」等、色々なものが含まれます。うまく選別・活用出来れば「民主化の推進」或いは「民主化要求のガス抜き」になりますが、下手をすると「暴動」や「反政府運動」の引き金にもなり、また反政府不満分子の煽動手段となる恐れもあります。

(2)中国のインターネット事情
 @ 中国のインターネット接続サービス加盟数は2008年2月にアメリカを抜き世界第一位(2億1000万)となりました。中国のインターネット接続時間は1日 5億7千万時間、加入者の大半が30歳前半以下の若い世代(中国の現在の年齢層別人口は10代―30代前半が構成比36.7%で約4億4千万人)であり、都市市民が多数を占めていることが特徴です。なお9歳以下の人口が11% 1億4千万人いるので、彼らは数年内に新しいユーザーとなる可能性が高いといわれています。

 A 特に特徴的なことはハイテクノロジー機能の使用率が極めて高いこと。
アメリカとの比較で言えば、たとえばMMS(マルチメディア・メッセージング・サービス)利用はアメリカで18%であるのに対し、中国は34%となっています。携帯からの接続はアメリカでは11%であるのに対し、中国は21%、携帯からの動画ダウンロード機能の利用はアメリカが3%に対し、中国は18%となっています。アメリカでは電子メールの利用率が高いですが、中国ではもっと技術的には先進しているIM(インスタントメッセージング)通信ソフトによる交信が多いといった特徴があります。
 中国ではインターネット利用者の89%がIMを利用していますが、アメリカでは39%に過ぎないといわれています。(Aの%数字はCHINAWAVEニュースのデーターに依る)

B 情報ソースとしてのインターネット利用
 JETROが本年5月上海で行ったアンケート調査によると、27歳以下の若者が生活情報や一般的な情報を入手する手段としては、インターネットが約80%であるのに対し、新聞・雑誌・ラジオはわずか約20%、テレビも60%に過ぎないといった結果が出ています。さらに詳しい情報を入手する際はインターネットが85%以上であるのに対しテレビは30%前後に過ぎませんでした。情報源としてインターネットの存在は圧倒的です。
従来は新聞・雑誌・テレビ・ラジオ等といった、多かれ少なかれ政府の意向を受けた情報源
だけであったことを考えると、画期的な変化となりました。インターネット加入者層は、同時に購買の主力ユーザーでもあるので、電子商取引をはじめとしたネットでの商品宣伝が絶大な効果を上げます。
 一方日本では、2008年7月の博報堂のアンケート調査によると、日本人の情報源は新聞が77.6%、テレビが76.2%であるのに対し、インターネットは52.4%に過ぎません。また情報についての解説の充実度(説得力のあるメデイア)については新聞が73%、テレビは37.3%であるのに対してインターネットは20.7%に過ぎません。
 つまり中国では情報源として「インターネットが絶対的に頼られている」のに対し、日本では「新聞が圧倒的な信頼を得ている」。逆に言えば中国の新聞・テレビは信頼されていないことになります。
 (但し博報堂のアンケート対象は若者だけでなく全体を対象としています)

 

◆上海便り 〜5月〜◆
1.政治状況

 中国(上海)での日本食品販売について
 過去、数回開催された物産展・商談会等を経由して知り合った上海の業者を通じて、既に一部の熊本県の食品が輸出され、上海で常時販売されてはいますが、顧客は主として在住日本人(約5万-10万居住しているといわれています)であり、一部中国人富裕層が買っているにしても、未だ規模も大きくなく、本当の意味で上海(中国)進出を果たしたとは言い難いと私は思っております。
日本からの食品の上海での販売での苦戦については、次の理由が上げられています。

@ 市場調査とその分析が充分でない。
A 中国人の習慣・嗜好の把握が充分でない。
B 消費者のニーズやトレンドの把握が充分でない。
C 価格設定が一般中国人の購買対象となっていない。
D 顧客ターゲットが明確化されていない。
E 商品やサービスに他とは違う特長を持つといった差別化が出来て
  いない。また、ブランドが確立していない。
F 宣伝(コマーシャル)が不足している。
G 中国政府の輸入規制。

 以上の問題点を全てクリアして一般中国人向け食品事業として成功しているのは、味千ラーメン、旭洋(豆腐)、ハウス食品(レトルトカレー)、キューピー(低カロリーマヨネーズや低糖ジャム)、サントリービール、明治製菓等の現地生産の大手企業が上げられます。

 中小の食品会社にとって、上述の7つの問題点を全てクリアするのは資金的にもリスク負担能力からいっても困難でしょう。しかし、少なくともまず中国人の嗜好・習慣等を含めた市場調査を実施し、顧客ターゲットを明確にし、販売戦略を立てることが必要です。日本人や一部の富裕層をターゲットにするなら差別化さえできれば、日本での生産でも価格的に可能だと考えます。しかしなから一般の中国人に対象を拡大する場合は、価格を大幅にダウンする必要があり、現地での生産が必要になるでしょう。(そのあたりについて市場調査と分析に基づく経営判断が求められます)

 また差別化については、「食の安全や健康」と「独特のおいしさと中国人の嗜好との調和」「贈答品として使える」「包装(外観)に特徴」がキーになるでしょう。旭洋の豆腐は使用する水の安全性、キューピーのマヨネーズは低カロリーの健康、味千ラーメンは中国人の嗜好に合った味付け、陸奥や富士ブランドのリンゴは贈答品(陸奥はソフトボール大1個68元(約1,000円)、富士は58元(約900円)で売られています。)として使えること等が差別化のキーになっています。

 これまで行政主催の物産展・即売会により、県内中小企業に市場調査の機会が提供されていますが、企業自体も、たとえば中国で売れている(人気のある)中国や台湾製の競合食品の味を分析し、取り入れる等の工夫を行い、販売戦略を立て、フォローしていく積極的なマインドと努力が必要だと思います。

 上海に於ける日本食品の販売状況は少しずつ増加しており、それにつれて売り場面積も大きくなってきています。(久光百貨店の成功、石橋水産や石狩水産の健闘、ヤオハンも日本食品売り場の大幅拡大計画があります)しかしターゲットは日本人および一部富裕中国人であり、市場が拡大しつつあるといっても短期間での急速な膨張は期待できません。一般中国人が購買するコンビニやスーパーには、上述の成功例の現地生産食品以外の、輸入品はほとんど見かけません。(例えば日系のローソンでさえ小型店では、販売されている日本からの輸入食品はチョコレート11元(約170円)とあられ、38元(約600円)ぐらいです。

 日本の各自治体が開催した日本食品の商談会ではJETRO上海等が苦労してバイヤーを集めておられますが、ほとんどが日系または既に実績のあるバイヤーで、中国人経営のバイヤーにとって未だ積極的に商談会に乗り込んでいって商談しようというニーズには到っていません。また日系も大手商社にとっては採算的に興味がでる規模に達しないため、参加意欲が高くありません。

 現状はこのような困難な情況にはありますが、可能性に富んでいる市場ですので、各食品会社がそれぞれにどういう戦略で対処するかを真剣に考える必要があります。
 考えられる戦略としては以下のものが考えられます。
@ 現地生産に踏み切る 
A 現地企業と提携する 
B 在住日本人と富裕中国人をターゲットにしぼり色々な角度から商品の
   差別化を図る。
          等
 もし、個別の企業におかれまして当方の参考意見やアドバイスが必要ならいつでも対応致します。

 

◆上海便り 〜4月〜◆
1.政治状況

 08年の第一四半期のGDP成長率は10.6%で、昨年1年間の11.8%と比較して、若干伸び率が下がりましたが、固定資産投資は、昨年同期比25%上昇しており、マクロ規制効果が出ているとは言えません。一方CPI(消費者物価指数)は8%上昇し、政府目標の4.8%を大きく上回りインフレに対する警戒感が強まっています。
 人民元の対ドルレートの上昇が今年に入りスピードアップしていることや政府の輸出規制もあって、輸出は若干押さえられ、貿易黒字の増加率は少し減少しています。

2.経済状況

 1〜3月のCPIは8%上昇しましたが、主として食品価格の上昇に起因しています。この期間の食品価格の上昇率は21.4%にも達しており、食品以外の上昇率は1.8%に過ぎません。
 品種別に見ると;
  穀物 6.8%  肉類 45.8%  油脂 50.7% 水産物 11%
  野菜 22.7%  果物 4.3%  卵 3.4%
 国産食品の価格上昇や安全の問題もあって、輸入食品の販売は好調とのことです。

3.人民元動向

 2005年7月に中国が人民元を完全固定レートから管理フロート(バスケット方式)に転換して以来、既に15%、対ドルレートは切り上がっています。これまでは年5%程度のゆるやかな上昇で、国内企業の輸出競争力に大きな影響はありませんでしたが、今年に入って上昇のスピードがアップしています。
 中国政府は当面、経済の過熱防止とインフレの防止を最優先の課題としているため、今後も人民元高を容認していくと思われます。当地の邦銀の予測では、年末には1米ドル6.5−6.8人民元までアップする可能性が大きいといわれています。

4. 再生可能エネルギーと新エネルギーの技術導入・協力を推進

 政府は、太陽光発電、バイオマス燃料、バイオマス電池、風力発電、水素エネルギー、燃料電池、メタンハイドレードの開発等を優先課題として、海外からの技術導入や技術合作を推進する政策を明確にしています。
 この方面での国際機構や海外企業との協力、技術者の招へいを推進する方針です。

5. EU 上海での食品市場開拓に本気の努力

 EUは、巨額の資金を注ぎ込み、5月に大規模な展示・即売・宣伝の活動を行う予定で、ヨーロッパ各国の食品の上海での販売推進を図るとのことです。

6.株価動向

 上海の株価は、2005年5月に基準平均 998ポイントでしたが、その後棒上げ状態が続き、07年10月にはピークである6124ポイントに達しました。その後、ずっと下がり続け、先週末には 3,000ポイントまで下落しましたが、現在は3,500前後となっています。
  実体経済よりも、投機で動いている要素が強く、政府の政策や噂に過剰反応をするケースが目立っています。

7. 対中直接投資

 海外からの直接投資は08年1−3月にかけて61%増と好調でした。香港からの投資が特に多いのですが、日本・シンガポール・韓国・米国からも各10億ドル程度が実行されています。


◆上海便り 〜3月〜◆
1.政治状況

最近の特筆すべき中国の政治状況は以下のとおりです。

(1)

3月5日から18日まで全国人民代表大会(日本の国会に相当)が開催され、5年に一度の国家指導層の人事異動と活動方針を決定した。人事は予想されていたとおり、胡錦涛国家主席、呉邦国全人代委員長、温家宝首相の留任とともに国家副主席には習近平氏が選ばれ、ポスト胡氏の最有力候補となった。後継者候補の対抗馬である李克強氏は筆頭副総理となり、5年後には習主席(党総書記)、李首相の線が見えてきている。
今回の人事にあたっては、特に内部で意見の対立があった様子もなく順調に決まったことで、中国トップの政治状況は極めて安定しているといえる。

(2)
今回の全人代では国務院(日本の内閣に相当)の改造(各部の統合)も行われ、新しい部長(日本の大臣に相当)が指名されたが、各部の統合は抵抗も強く、完全ではなかった。どこの国でも行政改革は極めて難しい課題である。指導層は統合を無理押しせず、内部融和を優先させつつ漸次改革に進んでいる。
(3)
チベット暴動が、全人代が北京で開催され、世界が北京を注目しており、胡主席が再選されるタイミングで発生した。(周到に準備されたものと思われ、中国政府は虚をつかれた感じである。)全人代終了後の温首相の内外記者会見でも外国人記者の質問がチベット問題に集中し、世界の注視を浴びたことで、暴動の目的はある程度達成されたと思われる。
(4)
台湾の総統選挙で、独立派でない国民党候補が勝利したことで、中国政府も一般庶民も安堵している。今後、台中経済関係が一層緊密化することが予想される。特に一般庶民は台湾が独立宣言し戦争になることを恐れていたので、ほっとしている。
2.経済状況

最近の特筆すべき中国の経済状況は以下のとおりです。

(1)
 温首相は全人代での方針として、当面は物価の抑制(インフレの阻止)が最大の課題であり、そのためにマクロコントロールを持続し、経済成長を失速させずに8%前後を維持することでCPI(消費者物価指数)を4.8%前後に押さえると言明した。
(2)
CPI(消費者物価指数)は08年1月が7.1%、2月が8.7%と高い水準にあるが、大雪災害や春節による食品価格の暴騰が要因と考えられ、3月以降は下落するかどうかが注目点である。
(3)
全人代開催中に中国の株価が大幅に下落して、一般庶民は衝撃を受けた。アメリカのサブプライムローン等の世界経済の要因もあるが、国有株、法人株(非流通株)の流通市場への放出が加速化したなど中国特有の要因によるものと思われる。
温首相が、「一般庶民のお金がなくならないような施策をとる」と発言しており、株価にどういう影響があるか注目される。
(4)
外資政策
ハイテクや省エネ、環境保護技術、先進第三次産業等を優遇し、一般的加工工場等を規制する基本的方針はますます強化されるので、外資系企業も投資選択についての戦略を修正する必要がある。
なお、対中直接投資は昨年来再び増加傾向にある。

◆上海便り 〜2月〜◆
1.社会状況
 2月に入り中国南西部で史上まれな大雪が降り、上海市でも2度かなりの積雪がありました。今年の中国のお正月(春節)が2月7日であったため、1億人が移動するといわれる帰郷の足が大混乱となると同時に、雪害による交通手段の寸断により火力発電用の石炭輸送に支障が生じたことと、寒波による電力消費が大幅に上昇したことにより各地で電力不足となっています。
 上海市でも1月のピーク時電力消費量が史上初めて夏場のピーク時を上回り、全市をあげて節電処置が取られています。いつもは華々しい照明の上海の夜景も、今は残念ながら楽しめません。日系企業に対する電力供給については、未だ大きな支障が出てきていませんが、楽観できない情況にあります。
 一方、交通寸断により野菜等の輸送にも影響が出て、市場でもいつもは豊富な新鮮な野菜類も少なくなっています。春節による食品価格の値上げについては、政府が厳しく規制し、原則として値上げを禁止していますが、輸送の混乱による品不足もあり実態としては、食品価格は相当な値上がりとなっており、1月のCPI(消費者物価指数)もかなり高い水準になったと思われます。
2.経済状況
(1)
国民一人当たりの可処分所得は2007年も順調に伸び、都市部では前年比17.2%上昇の年間1万3,786元。農村部でも15.4%上昇し、4,140元となっており物価上昇分を差し引いても10%以上の改善となっています。
(2)
富裕層は投機対象としての不動産が政府の各種制限施策によりおもしろみが少なくなったとして株式に走り、一時期棒上げ状態でしたが、このところ世界の株式の乱高下の影響を受け上海の株式市場も乱高下となっています。
(3)
外資系を含め企業業績は好調を持続しており、輸出も高水準を維持しています。中央企業と呼ばれる国有企業主要150社の業績も07年は売上高が19.3%アップ、純利益が30%アップ、国家への上納税金も23.8%アップしたと発表されています。
(4)
マクロコントロールの強化にかかわらず07年の固定資産投資が24.8%と高水準であったため08年以降のGDPも10%前後の高い水準となることが予測されます。
(5)
07年の自動車生産は888万台(内乗用車638万台)、鉄鋼(粗鋼)生産は4億9千万トン(世界一位)。自動車生産は08年には1,000万台(乗用車730万台)との予測です。
(6)
07年の市民一人当たりのGDPは中国でトップの深せん市が1万米ドルを、2位の上海市が9,000米ドルを突破。先進国並みとなっています。
3.九州合同の物産展・商談会
 潮谷熊本県知事を団長に、初めての九州全県プラス沖縄県・山口県の合同物産展・商談会が熊本県の幹事で1月上旬に上海市で開かれました。知事一行は上海市政府の唐副市長ほか幹部達とも交流され大きな成果がありました。この成果を今後どう持続、具体化していくかのフォローが必要と考えます。
 ほぼ同時期に奈良県荒井知事一行が観光PRの為、上海に来訪。また大分県県会議員視察団も来訪。
 上海市と日本の各地自治体との交流はますます活発になっています。

◆上海便り 〜1月〜◆
1.新華社記者が1月2日紙上で発表した2008年の中国の重要事項は以下のとおりです。
(1)マクロコントロールの強化と経済の安定発展
(2)人民代表大会において国家新指導者人事の決定
(3)北京オリンピック 8月8日開幕
(4)経済改革開放路線 30周年を迎える(基本路線を堅持し格差是正)
(5)中国宇宙開発で初めての宇宙遊泳の実施(神州7号)
(6)中国国家元首胡錦涛主席 国家元首としては10年ぶりの訪日
(7)民生改善の為国家資源(人、物、金)を優先投入
  (胡錦涛訪日を重要事項として取り上げています)

 経済に関しては、各紙とも<投資>と<輸出>と<消費>とをいかにバランスをとって併行発展させることが出来るか正念場との認識を示しています。 

2.文匯報記者が1月1日紙上で発表した2007年経済の数字での回顧は以下のとおりです。
( 1 )GDP伸び率 11.5%(予測)
( 2 ) 財政収入 51兆元に到達(前年比 31%上昇)
( 3 ) 農民一人当たり純収入増加 7%
( 4 )新規雇用(雇用増加) 1200万人
( 5 )穀物生産 5億トン突破 4年連続増産豊作
( 6 ) 単位GDP当たりのエネルギー消費量 約3%減少
( 7 )CPI上昇率 年間5%弱(4QTRは6%強)
( 8 )人民元対ドルレート 年間6%強上昇
( 9 )貿易黒字 年間2,500億ドルに到達見込み
(10)証券取引口座件数は1億3800万。07年新規開設 3700万件
3.中国の海外直接投資の拡大
 2007年、中国は海外からの受け入れ投資金額と、海外への投資金額とが逆転する画期的な1年となりました。
海外の調査機関の統計によると;
   2007年中国からの対外投資   292億米ドル
   2007年中国への直接投資    215億米ドル
特に 中国国家投資会社からモルガンスタンレーに対する50億ドルの投資(9.9%の株主)と中国工商銀行によるアフリカ最大の銀行 南アスタンダード銀行の株式20%取得(筆頭株主)が目立っています。
 2008年政府は企業の海外直接投資を一層支援することを決め、また個人の海外投資も開放する予定です。
4.チョコレート、ベビー用品、家具内装インテリア
 これらの業界については需要が急速に伸びているため、外資の投資も多く戦国時代に突入しています。特にチョコレート需要は急拡大で、日系でも明治が現地生産。韓国のロッテ、アメリカのハーシ、欧州のフェレロ等高級品は外資系が市場をおさえています。
5.中国の農産物安全基準
 中国農業省の発表では、最近残留農薬の規制量や検査方法、遺伝子組み替え安全基準等の規定を制定しており、3−5年で農産物の安全レベルを先進国並みに引き上げるとのことです。対中国農産物、食品輸出については検査が強化されているので、留意する必要があります。
6.上海市のリニアモーターカー路線延長
 上海市政府は昨年12月29日ネット公報で、従来の浦東国際空港から浦東龍陽駅までのリニヤ路線を、万博会場、上海南駅経由虹橋空港まで延長(路線を従来の計画から若干変更)する予定と新ルートを発表し、周辺住民からのヒアリングを開始しました。
 周辺住民は、騒音、振動、磁場による公害を理由に反対運動を始めています。
 また上海−北京間の新幹線は1月18日に起工式が行われ5年の工期で着工される予定です。


| 貿易協会の紹介 | 業務内容 | イベント・セミナー | 会員の皆様に | 貿易相談 | リンク | ホーム |

Copyright (C) 2005. KUMAMOTO PREF. FOREIGN TRADE ASSOCIATION