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 当協会では、熊本県の委託を受けて、貿易の振興を促進する観点から、シンガポールと上海を起点として、東アジア(東南アジアを含む)における県内企業の海外展開に対し、支援を行っています。そのなかで、現地ビジネスアドバイザー等のネットワークを活用しながら、情報の提供、ビジネスパートナー候補の紹介、海外で展開する企業の相談窓口の設置等、企業のニーズに対応した支援を行っています。
今回以降、上海現地アドバイザーの中浦 和一氏から「上海便り」として現地のビジネスに係わる情報をレポートしていただきます。
 




2009年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

   

◆上海便り 〜3月〜◆

1.全国人民代表大会
 中国の国会にあたる全国人民代表大会(第11回第二次会議)は3月5日開幕、13日に閉幕しました。今回は異例ではありますが「人事」は最初から議題にないとのことで、落ち着いた雰囲気の中で経済問題を中心に討議が行われました。
@   温家宝首相は「政府工作報告」の中で14の重要数字を発表しましたが、主なものは;GDP8%、新規雇用900万、失業率4.6%以下、CPI4%、財政赤字(史上最大の財政支出) 9500億元、住民減税5,000億元、中央政府投資9080億元等です。
 特にGDP8%については、これまで例年かかげている8%とは意味が違うとしています。困難はあるが達成可能との自信を示しています。
 昨年発表した4兆元の大型景気刺激策については、内容に変更が加えられ、発表当時は ほとんどが鉄道や道路等の建設投資であったものが、医療・教育・社会保障等への投資を増加させました。また、全人代までに発表するとしていた「追加景気刺激策」については、大会では発表されず、温首相が記者会見で「近く発表する」「いつでも出せる」とコメントしています。内外の経済情勢・動向を慎重に見極めているものと思われます。
A  陳徳銘商務部長は記者会見で、中国は決して“カンフーパンダ”のような力を持つ「世界経済の救世主ではない」と表明しました。ただ国内経済を安定させ内需を拡大することで、世界の中で果たすべき責任を果たし貢献すると表明しました。

2.経済概況
 全人代で、温首相は経済の指標は好転の兆しを見せていると発言しました。確かに固定資産投資は1−2月で前年比26.5%アップとなっていますが、これは政府の景気刺激策としてのインフラ投資が始まったことによるものです。また2月の自動車生産・販売とも24%アップで80万台を突破して上昇機運となっていますが、これも景気刺激策による自動車関連の減税が効いているものです。 また1月の全国重点小売企業1000社の小売総額は、前年同期比 24.5%アップで政府の内需振興策の効果もあり、需要は好調です。
 ただ輸出は1月が前年比マイナス17.5%、2月はマイナス25.7%と落ち込みが激しく、1980年以来の大きなマイナス幅となりました。輸入についても1月は43.1%マイナス、2月は24.1%のマイナスとなっており、世界同時不況の影響には改善の兆しは見えていません。
 不動産市況も上海では若干上向きの情況も出てきていますが、依然低迷が続いており、株価も低い水準で上がったり下がったりの不安定な状態です。
 2月のCPI(消費者物価指数)は、マイナス1.6%と2002年以来のマイナスとなっています。PPI(卸売り物価指数)はマイナス4.5%で3ヶ月連続のマイナスで、デフレが心配される情況となっています。
 ただ、上海の街角景況感としては、デパート・レストランも賑わっており、消費も活発で、不況感は強くありません。広東や浙江に比べ輸出型中小企業が少ないからだと思われます。
3.税収と発電量
 中国の経済統計数字のうち、最も正確で信用できるものは税収と発電量です(一切ごまかしは ない由)。 
 08年の国家税収は、上半期は33.5%アップと快調でしたが、下半期は3.2%アップと減少しました。特に10月以降はマイナスに転じ、11月はマイナス11%、12月はマイナス11.9%、1月はマイナス17.1%と変化しています。 1月の発電量については、広東省、浙江省、上海は20%以上のマイナス、全国でも12%のマイナスとなって経済情況を反映しています。
4.人民元の動向
  中国人民銀行の周小川行長は、「合理的で均衡のとれた水準で安定させる」としています。外国からの「切り上げ圧力」と国内輸出企業からの「切り下げ圧力」の中で、当分現水準を大幅に変えることはないと予測されます。
5.観光
 08年の海外から観光に訪れた外国人(台湾人・香港人含まず)は2,433万人で、前年比6.8%のマイナスです(オリンピックはありましたが、四川大地震や世界金融危機により減少しています)。逆に外国に出かけた人数は、4,584万人で11.9%アップとなりました。

◆上海便り 〜2月〜◆
1.中国経済の現状(「世界金融危機」と「記録的な旱魃」)
昨年11月ごろより世界的金融危機の影響が大きくなり中国経済は急激に落ち込んでいますが、広東省などの輸出メーカーの不振により職を失った労働者(ほとんどが出稼ぎの農民工)は、政府発表で2000万人と言われています。一方、中国北部の広範囲(河南、河北、安徽、山西等)にわたって記録的な旱魃が起こっており、「麦」の生産が大打撃を受けることが確実な情況で(全国43%の冬小麦が旱魃の影響を受ける恐れあり)、政府幹部が現地を訪問し、色々な対策を出していますが、北方地方農村はまさに「泣き面に蜂」的な情況です。
 一旦春節で帰郷したこれら労働者は、今後政府の景気刺激策や失業対策の具体化を見込んで、従来の就業地であった広東省や福建省に戻らず、建設需要の大きな上海等に向かって大移動する可能性があり、上海市政府も内心戦々恐々という状態だと思われます。中央政府は農村を抱える地方政府に対して地方でのインフラ建設での労働者の吸収や、農業への復帰、生活支援等の援助を行うよう指示していますが、大都会での生活になじんだ農民工は農村には落ち着かず、職を求めて都会に出て行くものと思われます。
 雇用の創出やきめの細かい生活支援により彼等の不満を解消し、暴動などの騒動が発生しないように党と政府の必死の対策が続いています。政府は「集団トラブル」が発生した場合、地方政府幹部自らが先ず率先して説得・話し合いで不満の解決に当たるよう指示し、警察力の行使は焼き討ち等暴力行為が過激に至るまでは原則として禁止としています。
 上海では春節商戦での消費実績は、それでも前年比13%アップとなっており、マイナスとなっている日本からみれば羨ましい情況です。株価もこのところ上昇を続けており、一時1600ポイントまで下落していましたが、2200まで回復して、市民は明るさを取り戻しています。もっとも輸出に頼っている企業が苦しいのは同じで、ちなみに私が住んでいる零細の輸出業者が多いオフィス・住宅兼用のビルでは、数年来少なくとも昨年夏までは満室で盛況(レンタル費用も棒上げ)でしたが、年末には倒産で空き部屋が増えています。
上海市政府は大企業や国営企業が「人員削減」を行う際は「労働局」に事前に届け出を行い、削 減者名簿・工会への報告情況・補償金支払い情況・再就職斡旋情況等の提示を求めています。
 市政府の話によると「上海万博」に関して、各国各社パビリオンの契約時期が折悪しく世界金融 危機と重なったため、キャンセル等もあり苦戦を余儀なくされているとのこと。
 日本では「定額給付金」の評判が悪いようですが、南京市、杭州市、成都市等は地方政府の権限 で内需拡大を狙って「消費券給付」を行っています。「商務部(省)」は臨時の緊急措置として「一定の効果がある」と評価していますが、「上海市」ではそれほどの効果は期待できないとの見解です。
 3月3日から開催される全国人民代表大会(国会)前に、新規の経済対策が発表される見通しですが、厳しい内外の環境下でどのような方向性を打ち出すか、重要な大会となりそうです。
2.上海における有機栽培生鮮野菜と日本果物
 2005年に上海に初めての有機野菜農場「百欧歓有機農場」ができ、その専門販売店「スーパーOストア」が開設して以来、上海市民の有機食品に対する関心も高まり、現在まで上海で新規にいくつかの農場(外資系が多い)ができています。
 たとえば、「海客楽」「慈翔生態農庄」「欧格尼」「上海点点緑農科技」等等。また有機食品を材料 として使っていることを売り物にした「レストラン」も現れています。有機野菜は一般野菜より高 価であるため、購買者は主として外国人・富裕層ですが、少しずつ客層も拡大しつつあり、デパ地 下やスーパーの有機食品売り場も拡大しています。
 ご参考までに浦東新世紀商場(旧ヤオハン)地下食品売り場での販売価格は;
● ほれんそう 260g 9.3元 ● 長ねぎ 500g 10.8元 
● まいたけ 1袋 14.8元 ● ニンジン 2本 9.2元 
●有機日本米(江蘇省産)2.5キロ入り袋 87元
 中国では今後、農地改革(農地の市場開放)が行われる予定であり、外資の参入のチャンスは増 えていくでしょう。なお春節商戦で売られていた日本の「青森りんご」の価格は大きいもので 1個 88元 小さいもので 18元。大きいりんご6個入りの贈答用ケースが400元前後でした。
 中国国産が小さいもので5〜8元ですから、かなりの高値ですが、贈答用に相当売れたとのこと です。


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